「ローエングリン」東京・春・音楽祭 4月5日

 ワーグナー/歌劇「ローエングリン」 演奏会形式・映像付き
 ローエングリン:クラウス・フロリアン・フォークト
 エルザ:レジーネ・ハングラー
 テルラムント:エギルス・シリンス
 オルトルート:ペトラ・ラング
 ドイツ国王ハインリヒ:アイン・アンガー
 式部官:甲斐栄次郎 他
 指揮:ウルフ・シルマー
 NHK交響楽団
 合唱:東京オペラシンガーズ
 4月5日17時~東京文化会館
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 せっかく上野まで来たから絵画鑑賞は先日のリーダーアーベント。
 ローエングリンは影響力が大きいだろうから軽く食事して直ぐに席に向かいました。
 もう少し良い場所で聴きたかったけれど、演奏会形式だし何より歌手はバイロイトクラスだから贅沢です。
 発売日に速攻ゲットした5階R1列。
 東京・春・音楽祭では満足度の高い演奏に遭遇することが多い。
 イベントの集合体はここに限らず色々あるから「音楽祭」の定義までは考えないけれど、東京・春が個人的に最も身近で有難いと感じるのは、「電車で行ける」 「駅前の劇場は便利」 「美術館・博物館・動物園・芸大・料理の美味しい精養軒・上野のお山は文化的」 「チケット代金が安価」 それから最も重要なのは、お客さんの質が異なって感じられるのです。これは偏見でもなんでもなく、周囲に迷惑を掛けずに楽しもうとする当たり前の精神と連鎖。冷静に対象に向かい本質をとらえようとする努力と申しますか、全てじゃないけれど芸術鑑賞に能動的な人が多い気がする。たぶん対極にあるのがラ・フォル・ジュルネで、誰もが楽しめることは大切だけれど、常に誰かが誰かを探しているような渋谷スクランブル交差点現象を避けたい性質には敷居が高い。それと、音楽祭といえば松本ですが、あそこは新しいオペラを上演しなくなってしまい、オーケストラコンサートも(今年は小澤氏の「運命」がメインだとか)時が停止しているように感じられてくる。
 そう!松本で思いだしました。先週のこと松本在住のブロ友Gさんから夜電話があり「鎌倉のホテルに泊まっているのですが~」って、もう少し早く教えていただければ居酒屋でもいけたのに(笑)横浜での学会かなにからしくここまで来たとのこと。結果翌朝珈琲という約束になった。
 それで市役所向かいにあるスターバックスに初めて入店した。ここは「フクちゃん」で有名な漫画家、横山隆一氏の邸宅跡地で雰囲気は良いのですが、ラ・フォル・ジュルネ同様にスターバックス苦手で避けていた。そしたら<ご注文ごとに挽いて選りすぐりの器具で一杯ずつ抽出いたします>と説明文。なんでも国内で扱っている店舗も少ない器具とのこと。あとからいつもの珈琲屋に聞いたら、その機械を開発した会社をスタバが買収したらしい。不覚にも、その珈琲が美味しかった!
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 自宅裏の山桜。ちょうど一生懸命花びらを散らしている。

 さてローエングリンですが、素晴らしかった。
 フォークトはこの役が最も適している。オケや合唱が大きな音を出していても、彼の声だけはきちんと聴こえてくる。この感覚は実演で確認するしかないけれど、歌手の人生は短い。CD聴いている場合じゃないと思う。奇跡的に誕生した白鳥の騎士がいま東京にいる。(そして思う。昨年のタンホイザーはやっぱり駄目だったのだな。)
 ペトラ・ラング。先日のリートとは別人。オルトルートが憑依。存在感抜群。
 ラングとフォークトは楽譜無し。
 シリンスとアンガーも良かった。先へ突き進むようなシルマーの音楽作りは好み。
 しかし、エルザのレジーネ・ハングラーはNGでした。楽譜を完全に読みながら歌っている。フォークトが「エールザ!」と声に出しても表情変えない。何も感じないのかな?
 この人は立ち位置を下げる癖があって、無意識にコンサートマスターに接近してしまう。その度に顔を真っ赤にしたライナー・キュッヘルが背中から怒っていた。
 空気が読めない人。レジーネ・ハングラーと書いて「巨大冷凍マグロ」と読む。
 ※コンマスへの接近があまりに気になり写真を検索したら、主催側FBで発見したのでお借りしました。
 これは近すぎ!どうして後ずさりするのかな?キュッヘルさん、やりにくかったことでしょう。
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 とか言いながらこれだけのワーグナー聴けるのですから我々は幸せ。
 演奏会形式だったので、時々目を閉じて観賞。脳内浮かぶ景色はネズミにあらず古のヴェルナー・ヘルツォーク