第7回 混声合唱団ラトナ演奏会 7月22日 北本市文化センター

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 最近は人前でマイクを持たずにいましたが、久しぶりにMCをしてまいりました。
 北本・桶川・鴻巣在住中心の歌好きな素人の合唱団。ご高齢の団員が多く最年長は83歳。
 カルチャー的な団体と異なり、演奏会開催が都度目標、志は高く、相手を思いやる心を優先させる.人間関係は良好。ふとした縁で僕は発足当時からお世話になっています。
 
 現地の埼玉県北本市は37~38℃。アスファルト上での体感は40℃あったかもしれません。当初秋に予定されていましたが、ちょっとした事情により7月に延期。そんなことからプログラムは秋が相応しい内容。それでも幼少時の明確な季節感の如く、今後陽射しの強い日に楽しい舞台を鑑賞したと思い出していただけたら最高の喜びと考えました。

 2018年7月22日(日) 14時開演 北本市文化センター
  第7回 混声合唱団ラトナ 定期演奏会
 
 第一部 
  混声合唱組曲「心の四季」(朗読つき)
 「風が」「みずすまし」「流れ」「山が」「愛そして風」「雪の日に」「真昼の星」 作曲 高田三郎 作詞 吉野弘
 <休憩時間15分>
 第二部
  落葉松(小林秀雄
 MC
  お祭りマンボ(美空ひばり) オーソレミオ(ナポリ民謡)
 MC
  女声コーラスで2曲 ラルゴ(ヘンデル歌劇「セルセ」より) 恋のフーガ(ザ・ピ-ナッツ)
 MC
  男性コーラスで2曲 七重唱行進曲(レハール喜歌劇「メリーウィドウ」より) 宇宙戦艦ヤマト
 MC
  Yesterday(ビートルズ)  冷たき手を(プッチーニ歌劇「ラ・ボエーム」より)
 MC
  心の声(ミュージカル「マリー・アントーワネット」より) 夜の調べ(ミュージカル「オペラ座の怪人」より)
 MC
  ジェリクルキャッツ 鉄道猫 メモリー(ミュージカル「キャッツ」より)
 MC
 MC
 サークル・オブ・ライフ(ミュージカル「ライオンキング」より)
 MCより出演者の紹介及び団長ご挨拶
  アンコール2曲
  民衆の歌(ミュージカル「レ・ミゼラブル」より」 ウィーン我が夢の街

  指揮(指導者)船橋研二さん ピアノ(指導者)仲澤暁奈さん 
 ピアノ清水良枝さん シンセサイザー担当ミュージシャンのYUKAさん 司会JH(つまり本名堀内淳)

 細かな紹介はHPより拝借。
 混声合唱団≫ ラトナ1998年4月誕生。
 出生地は埼玉県北本市。名前の由来は月の女神アルテミスと太陽の神アポロンの母レト(=ラトナ)から。 混声合唱団として活動。 日本の合唱曲、ポピュラーソング、唱歌、民謡、ミュー ジカルなどレパートリーは幅広い。   特に合唱のみではなく、パフォーマンス・歌って踊ることには定評があり、演奏会では好評を博している。メンバーは、明るく穏やかだが内に秘めた情熱をもつ。 楽しく歌うことが大好き。『 みんなは一人のために、一人はみんなのために 』 がモットー。

 指導・指揮 船橋 研二先生 
武蔵野音楽大学声楽科卒業。 藤原歌劇団所属。ケン・ミュージック・カンパニー代表。
多数のミュージカルに出演。 主な作品としては 「パジャマゲーム」 「レ・ミゼラブル」 「ミス・サイゴン」 ローマの休日」 「キャンディード」など、現在は東宝ミュージカル 「レ・ミゼラブル」 「ミス・サイゴン」2大作品の歌唱指導、東宝ミュージカルアカデミーの講師として活躍。 また、タレント等のボイストレーナーとしてその手腕を振るう。 
 
 指導・ピアノ 仲澤 暁奈先生
 桐朋学園芸術短期大学芸術科音楽専攻ピアノ科卒業。 ピアノを荻野千里・荻野美智子・木村幸子各氏、アンサンブルを松井康・東井夫妻に師事。現在、カワイ音楽教室ピアノ講師としてリトミック・ピアノ講師。コンサート出演で活動している。「混声合唱団ラトナ」のピアノ伴奏を担当。


 市民ホールの掲示板には日本フィルアンサンブルのポスターと並んでいた。駅構内のポスターはラトナが上に貼り出されていた。恐ろしい現実である。
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 第一部前日練習。裏の反響板隙間から撮影。 
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 第二部の練習。MCの合間に裏の反響板隙間から撮影。
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 前日練習終了後に船橋さんと桶川に移動して知り合いが経営しているという和菓子屋さんを訪問。なんでもここのお嬢様は歌をやっていて(東宝のアカデミーでも研鑽)様々な舞台経験をされてきたという。
 それから中華料理屋に移動して乾杯。その後船橋さんのご友人たちが数名合流となり、宴会に変貌した。何故か皆ホッピーばかり注文していた。実はその人たちが(或いはその奥様たちが)嬉しいことに翌日聴きにきてくださりロビーでご挨拶できた。「また飲みにいきましょう。」と笑顔なのは有難いことだけれど、舞台じゃなくて酒かと困惑した。
 
 プログラムは過去のレパートリー(150曲以上)の中からもう一度歌いたい曲をメンバーと先生が相談し、いわゆるオムニバス形式で構成された。組曲をバラすと合計で26曲だからヘビーな舞台になると思った。
 そして今回はやけに自分の出番が多かったなと改めて数えてみれば、組曲の朗読が7編で二部では9回MCだから主役でもないのに目立ってしまったかも。しかし二部では団員さんの衣装お着がえ等(当然のことながら水分補給も)曲により次々と変化する演出。
 何をどう話し自然な流れを作り出せるか、最終的には客席の反応を感じながら半分アドリブ対応。
 事実、前日練習とゲネプロと本番では異なる内容を喋っていて、ギリギリ視界に入る舞台袖で団員さんの準備完了した様子や指揮者の表情からオンとオフを判断した。
 例えば仮にゲネで3分つなげば大丈夫だと理解しても、何が起こるかわからない本番において時間ほど当てにならないものはない。つまり本公演には舞台監督がいなく状況としては不利だけれど、いないことで自由は獲得できる。こういうとき求められているのは司会ではなく音楽的要素「音楽のような言葉」でありたい。
 人の声(歌曲やオペラ)好きな僕が普段から生の舞台やライブ音源に拘っている理由に似た雰囲気にあって、何故ならワクワクできて面白いのです。
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 ステージに向うときスポーツ選手みたいなルーティンは無いけれど、ここ数年決めているのは、原稿を作らないこと(原稿やカンペに頼る人は司会者ではない。)時計は持たない、皆の歌をしっかり聴き、視線はパフォーマンスを追いかけ、ハプニングに笑い、パーソナリティとか無駄なことを考えない。余計な知識を持つと言葉にリズム感がなくなるような気がして嫌なのです。     
 ペットボトルのお茶を一口だけ飲む。これは喉のため。
 舞台で喋る。最初の頃は勇気が必要だったけれど、無垢を心掛けバミッたテープを目印に歩き、空っぽな気持ちで暗闇の中スポットライトが自分に当たったとき、不思議なもので言葉が浮かんでくる。
二部の出だしで思いがけずお客様からリアクションがあり、無意識に謙虚な対話を貫けば、ジョークでも何もないのに会場が笑いに包まれた。「ラッキー!」この舞台いただいたと思った。でもその余計な自我を捨てる方法がまだ獲得できないでいる。
 ※ただ喋りの反動は終わった後に毎回やってきて、打ち上げの場で意思に反して無言の時間が多くなる。誰かと仲良くしたいと思っても言葉が出てこなくなる。それは15分おき程度にリートを繰り返えす。翌日は必ずダウンする。アレルギー悪化と不安と不眠。
 だからルーティンがあるとしたら、1週間程度前から開演時刻までに精神を躁状態にする心の葛藤かもしれません。人と会わない。電話に出ない。部屋にこもり数時間珈琲豆ハンドピック。好きな音楽をBGMにする。裏庭から山を見てひらひら飛ぶ蝶々を追いかけ野鳥の声を聞く。深夜星空を眺める。猫たちと戯れる。混雑した街に出ない。

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振り返れば一番ピンチだったのは朗読。
 吉野弘氏の詩はソネット形式になったり、日本語には珍しく韻を踏んでいたりと好ましいが難しい。
 でも発声技術の問題というより舞台が乾燥していて、三編続けて読むシーンで喉がいがいがしてしまい、どうにか誤魔化したけれど、僕の声に聞きなれた人だったら「?」に感じてしまったかもしれません。
 
 舞台上で記念の集合写真。個人が封印されるボカシ編集なら大丈夫でしょう。 
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 演奏会は、これまでにないお客様との対話(笑顔や手拍子)が何度も披露され、もしかしたら素人合唱でありながら、こんな団体は日本中探しても他に存在しないのではと思えた。でもズレた手拍子に困惑しながら懸命に指揮をするマエストロの姿が面白く、舞台袖で笑うのを必死に堪えてしまった。
 トータルの感想としては、出演者の立場ということから控えさせていただきますが、終演後ロビーに出たら「楽しかった。ありがとう。」と大勢から声をかけられた。毎度のことですがファンのオバサマからプレゼントを頂だいして一緒に写真とせがまれ動揺。
 和菓子屋さんから思いがけず差し入れの詰め合わせが楽屋に届けられた。
 数年前にブライダルの司会を担当したカップルが可愛らしい赤ちゃんを抱きながら挨拶に来てくれた。
 それからブログ友達のTさん、いつも聴きにきてくれてありがとう!それからプレゼントまで。思わずハグしたくなったけれど、すぐ近くにパートナーがいて、奇妙な誤解が生じると大変なので我慢した。
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YUKAさんのご子息は仲の良い彼女と楽器運送のヘルプしてくれたそう。
 日本一忙しい名ピアニスト清水さんは、終演後に打ち上げにも参加せず速攻で都内での仕事に移動。世の中には元気な人がいるのです。
 その後団員さんの話を聞き、皆が充実した経験だったと知り安堵。
 アンケート用紙の内容も概ね良好。
 仲澤先生は皆に愛されている存在。団員さんは娘か孫のように思っているみたい。
 マエストロ船橋さんは「今までで一番良かったかもね。」と言葉にされていたが、かなり疲労の様子。
 
  夜の北本駅湘南ライナーが来るまで少し時間があったので、マエストロと2人焼酎で乾杯。
 「またやろうね。」と言われ、僕は黙ったまま笑顔でうなづきました。
 心先にありき。やはり音楽の価値はライブにある。



 ※前後しますが、打ち上げのときに、以前最年長だったテノールのSさんがお亡くなりになっていたことを知りました。優しくお洒落な人だった。
 ラトナだけではなく、ソロでの歌発表会での思い出があります。その時は僕も参加した。
 Sさんは「初恋」と、カルメン2幕ドン・ホセのアリア「花の歌」をフランス語で歌われた。
 「大学のときにフランス語勉強していたから、挑戦したくなってね。」と恥ずかしそうに言葉にしていたっけ。
 悲しくなり、独りになれる場所に移動したら涙が出てきた。