シューマンの指・その2
「シューマンの指」を読みました。
まだお読みでいない人もいますし、よくあるストーリーのネタバレみたいな考えは私にはありません。
そのため抽象的な文章です。
昨夜まで約半分を読み今日は残りの頁でしたが話が急展開、折しもシューマンのオーケストレーションが聴き手によっては居心地が悪いように、また予想の範疇を超越して音楽(小説)が転調をみせた印象。
常に内向的で、主人公の行動に論理的でマクロな広がりなんか期待してはいけないし、シューマンが元々分裂した性格だった事とあくまで小説の中の個人的な問題だと客観的に捉え読むことをお勧めします。
だから楽しく読む人もいるだろうし、残念に思う人もいるかと思います。
それで、私はそれなりに好きな世界に入るのですから多少の危険性を覚えながら、それだけではなく何処か懐かしい感じなのは主人公と似たような考えの10代を過ごしたからだと思う。
曲の解説は作者がよほど作曲家について造詣が深いのか或いは勉強されたのか、(芥川賞作家程度の知識しかなく初めて読んだ。)専門書を遥かに上まわる知識が表白されていて、それも曲の主題に対して独自の考えがありハッとさせられたり、具体的な演奏家の名を挙げ肯定があったり場合により批判があったりして、音楽愛好家にとって非常に面白い。
でも、これを読んだところでクラシックを知らない人がシューマンを好きになるかというと、そう簡単ではなく、中原中也がピアノ協奏曲をSP盤で聴き「専門家の音楽」と評したように、シューマンは取っつきづらく楽譜が読めたり、それこそ演奏家じゃなければ理解ができないような、よそよそしさがあるのだから厄介である。
私がシューマンに夢中になるまでにはそれなりの時間が必要だった。
それ以上にゲーテやハイネを読み、音楽と詩のどちらを先に受け入れたのか忘れたけれど、とにかく数年にわたる手続きが必要だった。
これは母が宝石箱に使用していたオルゴールだった。
女学校時代からの親友から誕生日にプレゼントされたもので、細かな経緯は記さないが、母は亡くなる直前にその友人を憎み、縁を切った。
その考えに同意し私が処分したが、オルゴールは投げつけられたゴミ箱の中で少しだけ鳴った。
それ以来私は、この曲が好きになれない。
気まぐれで滑稽で甘美で豊か、でも「血なまぐさい」音楽。
ピアノ協奏曲の推薦盤と質問がありましたので、難しいのですが・・私の一番好きなピアノ協奏曲だから、推薦ではなく「好きな」演奏なら。
ジュリアン・カッチェン イシュトバン・ケルテス指揮 イスラエルフィル (デッカ)
アルトゥ-ロ・べネディッティ・ミケランジェリ ダニエル・バレンボイム指揮 パリ管 (グラモフォン)
中でも最近はミケランジェリばかり聴いています。美しい何度聴いてもグッときます。
逆に苦手な演奏は
リパッティに関しては気の毒、指揮が嫌い。
好きな人すいません。
全て好みの問題です。
/追加で ラドゥ・ルプー アンドレ・プレヴィン指揮 ロンドン響 (デッカ) 忘れてはならない推薦盤でした。