「シューマンの指」その3

 「幻想曲 ハ長調」を聴きながら「シューマンの指」について思い浮かんだこと。
 私は大きな勘違いをしていたようで、途中からの推理小説みたいになるから、前回ブログでは転調なんて表現しましたが、ストーリーそのものがシューマンの人生を準えて作られていることに今更気が付きました。
 いつものように詳しい内容には触れませんが、今回は多少掠るかもしれないのでご了解ください。
 この小説は推理ものではないのです。
 シューマンの、指が動かなくなる・ライン川への投身自殺未遂・精神を病んでの不遇な死は
 小説での、指の事件、プールでの事件、妹の手紙で明かされる兄の精神状態等にそのまま当てはまり、しかもシューマンが関係していた雑誌の名が「新音楽時報」だったということ。
 小説の要になる「幻想曲」はリストに献呈されましたが、同時期のロマン主義文学シュレーゲルが詩を書いていて、そこから確信が導き出されました。
  
 【 色とりどりの大地の夢の中で
   あらゆる音を貫いて
   ひとつの静かな音調がひそかに
   耳をそばだてる人のためにひびいている 】
 
  説明がついてしまいました。
 つまり作者が伝えたかったのは、事件の推理ではなく、この暗示だったのでしょう。
 もう一度視点を変えて読んでみたいと思います。
 今年はシューマンを聴くべきです。