私は大きな勘違いをしていたようで、途中からの
推理小説みたいになるから、前回ブログでは転調なんて表現しましたが、ストーリーそのものが
シューマンの人生を準えて作られていることに今更気が付きました。
いつものように詳しい内容には触れませんが、今回は多少掠るかもしれないのでご了解ください。
この小説は推理ものではないのです。
小説での、指の事件、プールでの事件、妹の手紙で明かされる兄の精神状態等にそのまま当てはまり、しかも
シューマンが関係していた雑誌の名が「新音楽
時報」だったということ。
小説の要になる「幻想曲」はリストに献呈されましたが、同時期の
ロマン主義文学シュレーゲルが詩を書いていて、そこから確信が導き出されました。
【 色とりどりの大地の夢の中で
あらゆる音を貫いて
ひとつの静かな音調がひそかに
耳をそばだてる人のためにひびいている 】
説明がついてしまいました。
つまり作者が伝えたかったのは、事件の推理ではなく、この暗示だったのでしょう。
もう一度視点を変えて読んでみたいと思います。