薔薇の花束

 ロイヤルオペラ公演「マノン」でのネトレプコが良かったとコピーライターの友人から自慢の電話がありました。
 しかし、もう一つの「椿姫」は今回ゲオルギューがキャンセルし、その代役も一幕で全ての力を使い果たし、二幕からは三人目のヴィオレッタが歌ったというのだから、これは大変に珍しいハプニングで、さぞかし落ち着かない舞台だったのだろうなと想像する。
 だんだん病弱になる話だから世界にはそういう演出もありそうだな。
 でも急な場合は出てくるたびに太る可能性があるのなら今回は知らないがだんだん健康になるように見えるだろうし、舞台とは人生とはドラマテックであり、これをオペラと呼ぶのだろう。
 私も以前に似たような経験が数回あり、メンバー表を見て愕然としたことがある。
 故ベーレンスしかりルネ・コロもそうだった時間が経てば別にもういいけれど、コロの場合はウイーンまで出かけたのに、舞台監督と喧嘩して帰ってしまったのだから、かわいそうな私は劇場の前で座りこんでしまった。
 「日本に帰りたくない・・お金も無い・・仕事もしたくない・・」
 帰国しても暫くはふらふらしていたように思う。
 ベーレンスのワグナーが聴けた時は感動のあまり、休憩時間に花屋にかけつけ、彼女に一番合うと決めた赤い薔薇の花束を作ってもらい、終演後楽屋口で歌の女神に捧げたら嬉しそうに笑顔で受け取ってくださった。
 その時の写真があるのだけれど宝物です。
 最近でこそコンサートが終れば、さっさと吉田秀和先生みたいに鎌倉への帰路に急ぐのですが、20代の頃はクライバーに「運命」のスコアにサインをしていただいたり、ジェシー・ノーマン、ベルゴンティやデュトワサヴァリッシュにもあるし、ひょんなことから最近はグルヴェローバと写真を撮影したり(これには深い訳がある)書き出したら大変な話でそのうち公開したい内容ですが、また体力がある時に。
 実は睡眠薬を呑んでから書いているのでテーマが何だか、忘れた。
 だから限界。
 来週末にN響でマリナーがシューマンを演奏するので行きたいと考えています。
 
 ロイヤルオペラの最終日「椿姫」ネトレプコが歌うことになったらしい。
 購入されていた人はラッキーである。