「たまゆら」川端康成

 川端康成の短編小説「たまゆら」 
 複数の勾玉を糸に通して揺すると玉と玉が触れ合って小鳥の囀りのような音がする。
 その音をたまゆらという。
 亡くなった少女の形見分けとして三人が勾玉を一つずつ貰う。
 月命日に彼らは集い再び勾玉を糸に通したまゆらを鳴らす。
 簡単にいうとそういうお話だけれど、実はかなりエロティックな内容。
 好きで数年前は何度も読み、誰もいない時は声に出し朗読し、嫌になるくらい繰り返し、ちっとも役に立たないけれど暗記するくらい頭に入れ、でも最近は違うことばかり考えていたので、すっかり「たまゆら」を忘れていた。
 ところが仕事帰りに暗闇から金木犀の匂い、それで思い出した。
 たまゆらと花の香りには何の繋がりもないけれど、以前この時期に読んだから思い出したのか、それとももっと昔から、下手したら勾玉くらい太古の時代から細胞のどこかに匂いが染み付いていて小説とは全く関係ないのに似た雰囲気がしたからか、どうでもいいけれど今日は秋を感じた。
 先日川端先生宅の裏にある甘縄神社のお祭りがあってお囃子なんかが聞こえていました。
 来週は材木座光明寺でもあるみたい。
 
 川端先生の「たまゆら」は二つありまして、一つは連続ドラマの為に書き下ろしたもの、もう一つが短編。
 私が好きなのは短いほう。