シトコヴェツキー編曲。あぁCDを間違えて購入

 バッハ「ゴールドベルク変奏曲」シトコヴェツキー編曲の三重奏版が欲しくなりまして、タワーレコードで買ってきました。本来であれば編曲者自ら演奏しているものを入手すべきだったのでしょうが、Amati String Trioの新譜にしたのは650円と随分安かったからで、何だか時代に逆行してCDだけは年々安くなるのは大変に有り難く、例えばアーノンクール宗教音楽ボックスなど幅が15センチくらいで何枚入っているのかな?それなのに4000円代だったり、グールドが一枚700円くらいだったりする。兎に角「三重奏版ゴールドベルク」を聴くのが楽しみで自宅に持ち帰りました。
 しかし、最初のアリアで直に「何だこれは!」と感じたのは、見事な編曲なのに演奏が私にとってかなり苦手な種類で、バイオリンが主張しすぎ、それは音量だったりアクセントだったりバッハで最も大切な調和がいきなり頭の中で崩壊し始めたのだから残念でしかたがない。それでも我慢しながら最後まで聴きました。とても綺麗な録音なのですがバイオリンだけ近くにマイクが置いてあるみたいにキンキン聞こえてくる。素直にシトコヴェツキーの演奏しているオルフェオのディスクをネットで買っておけばよかったみたいです。そういえば編曲者のCDは何年も前に一度聴いたことがありまして、お店の試聴コーナーだったのですが、それはそれは素敵な演奏と憶えております。だから必ず買いなおします。そうはいっても素人のAmatiに対しての個人的感想ですから、評論家が褒めるかもしれませんし、私は責任は持てない。つまり素晴らしい演奏かもしれませんし、でも、もう聴きたくないから誰かに差し上げても構いません、と思うくらい。しかし「見事な編曲」と今一度繰り返したいのは、特にゴールドベルクこそグールドだと思い込んみ、それしか知らないでいたら些かもったいない人生と感じます。つい最近まで私がそうだったんだけれど、9月にサイトウキネンを聴きに松本に出かけ地元のお店で同じシトコヴェツキーが弦楽合奏にしたディスクを買い、それが良くって今も愛聴していて、でもそれだけでないのは、かつてウィーンに貧乏旅行ムジークフェラインで聴いたホルスト・シュタイン指揮ウィーン交響楽団演奏会、プログラムはシベリウスの「バイオリン協奏曲」とR・シュトラウス家庭交響曲」、あの時シベリウスを演奏したのはシトコヴェツキーで、ステージから一番離れた立見席だったけれど透明感のある音色に驚き、初めてソロバイオリンに感動、以来私の中では名奏者であり最高級の音楽家だから、何年経過してもあの時の生々しい音色が今回のバッハに繋がりを持っているのだと信じたい。
 それから最近の買い物は五味康祐の音楽オーディオ関係の古本を2冊合計で800円。五味先生の音に対しての異常なまでの執着、豪快過ぎる生き方、この人は変態だと珈琲片手に笑いながら読んでおりますが、ふと「もしかしたらキンキンとバイオリンが頭に響くのは我が家の音響システムのせい?」と考え直してみたりもする。時々接触不良を起こす古い真空管アンプは叩くと直ったりするし、製造されてから50年は経過している東ドイツRFTのスピーカー、平面バッフルでハンガーラックから吊るしている苦心の作は、普段は気にもしていなかったけれど問題だらけかもしれません。
 音に関しては拘りだしたら終着点がないので適当にやりくりしたいけれど、どうしたらいいものか。